先日、ある大学の女子バスケットボール部の顧問の先生とお話をさせていただくことになり、今の大学生の現状をお聞きしました。
私自身、10数年前は、ある大学の女子バスケットボール部を7,8年サポートしてきた経験もあり、当時の事を思い出しながら、顧問の先生のお話を伺っていました。
その話の中で、非常に興味を持ったことを仰られました。
「ほとんどの選手は、小学生からミニバスからスタートし、中学、高校と熱心な学校の部活動をしてきているからか、指導者からいつも怒られ慣れているのと、細かい指示を出されているので、大学に来てからも怒られて当たり前、細かい指示が出て当たり前だと思っています。でも、選手の自主性を高めたいために、試合中も、練習中もほぼ怒らなかったり、細かい指示を伝えなかったりしているのです。そうすると、選手から、もっと怒ってください。もっと指示をくださいと言う選手が出来来ました。それでも怒りも、細かい指示も出さなかったら、選手たちがお互いに声をかけだしチームの状況が変わって行きました」と仰られた時に、これはバスケ部に限った事ではなく、他の競技にも当てはまることです。
その顧問の先生は続けて、こう仰いました。
「競技レベルを上げるためには、怒ることも、細かい指示を出すことも必要だと思います。でも、選手たちは一生競技者として生活できるのではなく、いつかは競技を引退し、社会にできる時が来ます。そんな時に、上からの指示待ちをしていては社会では通用しません。うちの選手には社会でも通用する人になってもらいたくて、あえてそのようなチーム作りを目指しています。」
本当に感銘を受けました。
私自身、16年ほど前から、ジュニアアスリートの保護者向けに、子どもの能力などのお話をセミナー等を通してお伝えしてきましたが、参加者の中には「うちの子、自分で考えて行動することが出来ないのです。」と悩みをご相談されたりします。
今の子は、自分で考えて行動が出来ない子が増えているのか?
自分で考えて行動できない子を、どのようにして自分で考えて行動できるようになるのかを脳の仕組みからご説明したいと思います。
考えて行動できる子は何が違うのか?
考えて行動する力とは「発想力」や「想像力」、「創造力」がイメージされると思います。
- 発想力とは・・・新しい考えやアイデアが思い浮かぶ能力、新しく考え出す力
- 想像力とは・・・あるものごとについて、頭の中でアレコレと思いめぐらせる能力
- 創造力とは・・・新しいモノを初めて作り出す能力
考えて行動するためだけでも発想力、想像力、創造力など言い方が違います。
そもそも考えて行動する子は、その行動の後の状態をイメージしてワクワクしていたり、行動後の自分に自信があったりするから勝手に行動が出来ているのではないでしょうか?
考えて行動が出来ない子にも3つのタイプがあります。
- 考えられない
- 考えられても行動する方法がわからない
- 行動する方法がわかっても行動が出来ない
まずはお子さんがどのタイプなのかを考えてみて下さい。
考えられない子の脳の使い方
新しい事を考えろと言われても、頭の中にデータがないと考えられないと思考をストップさせてしまう子がいます。
そんなお子さんの口癖には
- わからない
- 難しい
- 自分には無理
等が口癖になっていると思います。
何かをやろうとするとき、行動を止めてしまう脳の使い方です。
【例】
新しい練習をさせようとすると、「え―――、難しそう」とか「自分には無理無理」と言う子ですね。
多分、日頃から家でもこういったことを言い続けているはずです。
このようなこのケースは、ほとんどが保護者の方が、先に答えを言っていることが多く、考える前に答えを知ってしまっているので、考える癖がなくなり、答えがない場合、思考が止まってしまいます。
考えられる子に育てるためには
考えられる子に育てるためには2つ
- 子どもが考えるまでずっと待つ
- 子どもが答えたことに否定、修正などをしない
子どもが、小さい時にもしかすると考えたのに、親に否定されたり、修正されたことが脳にインプットされたままかも知れません。
だから考えろと言われても、また否定されるのでは?また修正されるのでは?だったら考えないと考えることやめてしまっているだけかも知れません。
まずは時間がかかってでも、子どもが答えを出すまで待ち続け、出した答えには否定や修正をせずに「なるほど、スゴイね」ぐらい言ってあげて下さい。
行動をストップさせる脳の使い方
考えは出たとしても、行動する前にストップをかける子がいます。
その子の口癖はこのような言葉です。
- どうせ(無理)
- 面倒くさい
- 時間がない、あとでやる
- 何をすればいいのかわからない
行動しようとしても、「どうせ○○だから無理」とか「面倒くさいから嫌だ」とか「今は時間がないから出来ない」などの言い訳をして行動を行わない子です。
このような子の脳の使い方と言うのは、行動した後のことが良いイメージがなく、失敗したら怒られる、上手く行かなかったら恥ずかしいなどの感情から行動にブレーキをかけるタイプの子です。
行動する子に育てるためには
「失敗」「うまく行かなかった」=悪い、良くないと脳にインプットされています。
そういう子には、下記のような脳トレをしてみてください。
失敗したら、うまくいかなかったらどうしようと思っている子に・・・
- 成功したら(上手く行ったら)どんな感じになるかなあ?
- どのようにすると成功する(上手く行く)かなあ?
- 何回ぐらいやると成功する(上手く行く)と思う?
常に成功や上手く行くことをイメージさせて下さい。
子どもに考えて行動させるための習慣化トレーニング
小学生の時からスポーツをしていると、指導者から細かいぐらいの指示が出ます。出来なかった時には何回も何回も練習をさせられ、出来るようになります。
でも、その前に思考がブロックして考えることも、行動することもやめてしまう子がいます。
そんな子には、高いレベルの事を考えて、行動させるのではなく、日々、自分で考えて、決めて、行動するを繰り返しましょう。
例えば寝る前か、朝起きた時に「明日、今日やるべきこと」をノートに書きだし、出来たことに対してできた!と書く。
例えば、
・朝、6時半に目覚ましをかけて起きる→出来た!
・朝起きたら、最初に顔を洗って、歯を磨く→出来た!
・パジャマから服に着替える→出来た!
・朝食の残さず食べる→出来た!
・食べたものは片づける→出来た!
もしできなかったことがあれば
・朝起きたら走りに行く→出来なかった!ではなく
・朝起きたら走りに行く→明日やる!
出来なかったのではなく明日にやると決めさせてください。
簡単なことでも、自分で決めて、行動させる。
出来たら出来た!出来なかったら明日の課題!にすれば、出来なかったとか、親に言われてではない経験を積むことが出来、自分は出来る!と脳の中にデータがインプットさせれば、まずは時間をかけてもいいから考えてみよう!考えることが出来ればとりあえず行動しよう!と言う考え方と行動が習慣化されますので、気が付いたら自分で考えて行動することが出来るようになっています!